文化先進国の中で庁舎建築が際立って短命な日本では、多くの市町村庁舎が天寿を全うすることなく建て替えられている。そんな中、つるぎ町は今ある庁舎の表情を残したまま使い続ける選択をした。44年前に建てられたこの庁舎は、地域に暮らす人々が深い愛着を持つシンボリックな建物。そのシンボル性を失うことなく、住民の誇れる庁舎としてこの先さらに40年を越えて使い続けることを目指し、改修計画を立てた。
耐震補強においては、単に鉄骨ブレースを嵌め込む補強を避け、耐震補強壁を新たに設置することで意匠性を損なわないようにした。また耐震上不利となり得る時計塔や旧煙突も補強しながら役割を与え、外観保存につとめた。設備においては、煩雑になっていた配線関係を町協力のもとすべて洗い出して整理し、新たに配管し直すことで今後のメンテナンス性にも配慮した。照明設備はすべてLEDにし配置も見直した。特に重要な役場の機能である議場においては、多くの住民の目、声とともに存在しているような空間となるよう、内装を一新しLEDの特性を活かした照明計画を実現させた。
所在地 |
徳島県美馬郡つるぎ町 |
施工主 |
つるぎ町 |
施 工 |
株式会社 松考建設 |
敷地面積 |
2602.24㎡ |
延床面積 |
1632.04㎡ |
竣 工 |
2017年3月 |
備 考 |
撮影:淺川敏、つるぎ町 掲載:宮地電機㈱「僕らの仕事Vol.2」 |