明治2年と明治34 年(1901)の棟札が見つかった主屋(おもや)は漢方医学の問診所、薬局として使われた。診療所は手術室まで備えた西洋医学のための医院で、大正10 年(1921) に建てられた洋風建築である。主屋と診療所の間には、明治11 年(1878) 建築の土蔵が建ち、その他にも、松生簡易水道を引いた水場、膏薬を作っていた作業小屋など、医療に関連する建造物が多数現存する。敷地の北面は青石を積んだ石垣で造成されており、主屋の建つ敷地東半分は漆喰塗の土塀、診療所の建つ西半分は生垣が囲む。明治元年の開院から平成19 年に休院するまでの約140 年の間に、北室家の6 人の医師がこの地で診療を行った。旧北室醫院は建造物だけでなく、漢方医学から西洋医学への移行、近代医療の変遷や技術史の系譜を探る上でも大変貴重な存在であり、今後は地域の近代医療の歴史に触れる場として、また医療関係者の研修施設としての活用が計画されている。
◇旧北室醫院診療所(しんりょうじょ)
◇旧北室醫院病棟(びょうとう)
◇旧北室醫院主屋(おもや)
◇旧北室醫院土蔵(どぞう)
◇旧北室醫院庭門及び内塀(にわもんおよびうちべい)
◇旧北室醫院土塀(どべい)
◇旧北室醫院石垣(いしがき)
所在地 |
徳島県美馬郡つるぎ町 |
施工主 |
所有者:個人 |
竣 工 |
登録年月日: 2020年8月17日 |