ものがたりを大切にする、四国香川の建築家・多田善昭

中心市街地の集合住宅跡地に計画した一部屋根付き月極め駐車場の大きなテーマは、周辺環境を壊さず、良くする整備であった。

ひとつは、排気ガスを出す自動車を預かる施設が考えなければならない地球温暖化対策。もう一つは、地域住民の睡眠を妨害しない真夜中の照明、駐車場の安全を確保する「あかり」計画である。

一つ目の対策として、跡地で育った樹木を敷地の中央部に移植することを含め整理し、さらに増やし、樹液と枝葉が車に落ちる対策として屋根を架けた。この屋根は、鉄骨の屋根梁の下面に照明を当てて反射させるために、反射を遮る骨組みなどのないスムーズな天井面をつくれるように葺いた。

ゆるやかにカーブさせて生みだした高さの違いは、背の高い四駆車と通常の乗用車の必要高さに対応している。