香川県宇多津町の旧市街地[古街]を中心に据え、住民を主体とした委員会を2003年に発足、8年間にわたり住民・行政協働で暮らす人を増やすための「まちづくり」に携わった。
住民への負担が生じやすい「まち並み」維持のまちづくりは、この地にふさわしいまちづくり計画とは言えない。そこで住民との議論の中から自ら新しいルールづくりや自己規制を促す「みち並み」の整備が始まった。
雨が降っても人が歩く路面が早く乾くよう、排水溝を道の内側に2か所(断面はW型)設け、歩く路面は足に優しい「いぶし煉瓦」を苔、草が育つよう敷設することを町に提案。併せて、住民自らも私費を投じて敷地との段差解消を行うなど、住民が主体的に景観づくりに参加している、物語をみずから描くまちづくりに協力していることを体感できた整備事業であった。また、今もなお「みち並み」は人をつなぎ、コミュニティ、建物などを活かしながら新しい調和を生み出している。観光開発、建物保存を目的としない、「暮らす人のみち」整備を選んだ住民の功績であろう。
所在地 |
香川県綾歌郡宇多津町 |
備 考 |
撮影:淺川敏 掲載:新建築2009.01 建築ジャーナル2012.01 |